念願の新生活が始まる「入居日」。引っ越し当日は荷物の搬入や片付けに追われ、息をつく暇もありません。しかし、賃貸物件において「荷物を入れる前」にしかできない重要な作業が山ほどあることをご存知でしょうか。
これを怠ると、退去時に身に覚えのない修繕費用を請求されたり、入居早々に害虫の被害に遭ったりと、後悔することになりかねません。本記事では、鍵を受け取った直後から荷物搬入までにやるべき作業をピックアップしました。効率的な掃除の手順から、傷防止の裏技、必要な手続きまで、失敗しないための完全ガイドをお届けします。

入居前にやること完全チェックリスト
新居での生活をスムーズに始めるためには、入居前の準備がとても重要です。特に鍵を受け取ってから引っ越し当日までの過ごし方で、快適さが大きく変わります。ここでは、入居前に必ず押さえておきたいポイントを段階別に整理します。

【鍵受け取り直後】最初の3ステップ
鍵を受け取った直後は、まだ家具や荷物がない状態です。このタイミングだからこそできる確認作業があります。
まずは部屋全体を一通り見て回り、契約時の説明と相違がないかを確認しましょう。何も置いていない状態だからこそ、床の小さな凹みやクロスの剥がれを見つけやすくなり、現状回復トラブルを防げます。次に、照明やコンセントの位置、収納の使い勝手を把握します。最後に、今後の掃除や家具配置をイメージしておくことで、引っ越し当日の動きがスムーズになります。
- 部屋全体の間取り・設備を確認
- 照明・コンセント・収納の位置確認
- 家具配置・生活動線をイメージ
【荷物搬入前】掃除・害虫対策
荷物を入れてしまうと掃除がしづらくなるため、入居前の清掃は非常に重要です。前の入居者が退去後にクリーニングされていても、細かい汚れやホコリが残っていることは珍しくありません。特に水回りや収納内部は念入りに掃除し、必要に応じて防虫対策を行うことで、入居後のストレスを減らせます。
【引っ越し当日】新居での作業
引っ越し当日は荷物の搬入だけでなく、生活を始めるための確認作業も多く発生します。ガスの開栓立ち会いや設備の動作確認など、当日でないと対応できない作業を優先しましょう。また、管理会社への連絡事項があれば、この段階でまとめて伝えておくと後が楽になります。
鍵受け取り直後にやるべき3つのこと
鍵を受け取った瞬間から、その部屋はあなたの生活空間になります。最初に行うべき行動は、後々のトラブル防止や快適な生活に直結します。
部屋の傷・不具合の確認と写真撮影
賃貸物件で最も多いトラブルが、退去時の「原状回復費用」を巡る争いです。入居時点で存在していた傷や汚れは、退去時のトラブルになりやすいポイントです。床の傷、壁の汚れ、クロスの剥がれ、網戸の破れなどを細かくチェックし、写真に残しておきましょう。

ポイントは、「引きの写真」で場所を特定し、「寄りの写真」で詳細を写すこと。メジャーを横に置いて撮影するとサイズ感も伝わります。撮影した写真は日付が分かる形で保存し、管理会社へ共有しておくことで、数年後の退去時に「これは入居時からあった傷です」と自信を持って主張できます。
カーテン・家具・家電の採寸
内見時に測ったつもりでも、実際には誤差があったり、測り忘れた場所があったりするものです。特にカーテンは、窓枠のサイズではなく「カーテンレールのランナー(輪っか)」から床までの長さを測る必要があります。また、冷蔵庫置き場は「扉を開けた時の干渉」を含めた奥行き、洗濯機置き場は「防水パンのサイズと排水口の位置」を忘れずにチェックしてください。
意外と盲点なのが、玄関ドアや廊下の有効幅、階段の踊り場などの「大型家具の搬入経路」です。せっかく買った大型冷蔵庫が入らない、という悲劇を未然に防ぎましょう。
ブレーカーの位置と作動確認
意外と見落とされがちなのがブレーカーの確認です。通常は玄関付近や洗面所に設置されています。位置を把握しておかないと、停電時や容量オーバーの際に慌ててしまいます。
電気が通電していれば、各部屋の照明がつくか、コンセントが生きているかを確認します。稀に前入居者の解約から時間が経ちすぎて、電力会社との連絡が必要なケースもあります。
同時に、水道の元栓が空いているかも確認し、蛇口をひねって水が出るかチェックしてください。もし水の出が悪い、異音がするなどの不具合があれば、すぐに管理会社へ連絡しましょう。
荷物搬入前の掃除と害虫対策の手順
荷物が入る前の空室状態は、徹底掃除と害虫対策のベストタイミングです。クリーニング済みの物件でも、細かな埃や前の住人の生活臭が残っていることがあるため、自分なりの「仕上げ掃除」を行いましょう。
ここでしっかり対策しておくことで、入居後の手間を大きく減らせます。
最初にやるべき掃除場所の優先順位
荷物搬入前の限られた時間で効率よく掃除するためには、優先順位を決めることが大切です。荷物が入ると二度と掃除しにくくなる場所から手をつけるようにしましょう。
水回り(キッチン・風呂・トイレ)
水回りはカビや汚れが残りやすい場所です。特に風呂場の排水口やキッチンのシンク下は、カビや臭いの原因が潜んでいることが多いです。除菌スプレーやクエン酸などを使って、一度徹底的にリセットしましょう。防カビ対策まで行うと安心です。
トイレのノズル周りや、キッチンの換気扇のファンなども、汚れが残っていないか目視で確認することをお勧めします。
収納(クローゼット・押入れ)
収納内部は空気がこもりやすく、埃や湿気が溜まりがち。服を収納した後は、掃除機をかけることすら難しくなります。
まずは固く絞った雑巾で全体を拭き、その後しっかり乾燥させましょう。また、害虫の侵入口にもなるため、仕上げに除湿シートを敷いたり、防虫剤を置いたりする対策もこの段階で済ませておくとスムーズです。
床・壁・窓・ベランダ
床は家具設置前に掃除機と拭き掃除を済ませておくと効率的です。ベランダや窓も砂埃が多いため、早めに対応しましょう。
高いところから低いところへ、が掃除の基本です。天井の隅にある蜘蛛の巣や、クロスの埃を床用ワイパーなどで落とした後、最後に床を拭き上げます。窓ガラスのサッシ部分は、土砂汚れが溜まっていることが多いため、古い歯ブラシなどを使って掻き出しましょう。ベランダも、エアコンの室外機周りなど、荷物がないうちに水洗いしておくと、洗濯物を干す際にストレスを感じません。
害虫対策(バルサン)の最適な時期
防虫くん煙剤を使った害虫対策の理想的なタイミングは、「掃除が終わった後、かつ荷物を入れる前」です。家具がない状態であれば、薬剤が部屋の隅々まで行き渡り、隠れている害虫を根絶できます。使用後は数時間の放置が必要なため、鍵を受け取った日の夕方にセットして帰宅するのがベストです。散布後は死骸の掃除も忘れずに行いましょう。

マンションによっては火災報知器への対策が必要だったり、ペット可物件では使用できる薬剤が限られたりするため、事前に製品の注意書きをよく読んでおきましょう。
また、くん煙剤以外にも、ゴキブリキャップ(置き型)の配置や、エアコン排水ホースに防虫キャップを取り付けるのも効果的です。


エアコンの試運転と掃除
入居初日にエアコンが動かないと、夏場や冬場は地獄を見ることになります。電源を入れ、冷房・暖房がしっかり効くか、異臭や異音がしないかを確認してください。
<フィルター掃除>
フィルターを外してみて埃が溜まっていないかチェックしましょう。管理会社に言えば清掃してくれる場合もありますが、自分で市販の洗浄スプレーを使って軽くメンテナンスしておくだけでも、電気代の節約とアレルギー予防に繋がります。
掃除・防虫グッズリスト
お掃除基本アイテムを事前にまとめて準備しておくと当日慌てずに済みます。
【入居日必須】お掃除スターターセット
- 掃除用具:床用ワイパー(ウェット・ドライ)、雑巾、歯ブラシ、メラミンスポンジ
- 洗剤類:住居用洗剤、カビ取り剤、重曹・クエン酸
- 防虫関連:燻煙剤、ゴキブリキャップ(置き型)、エアコン排水ホース用防虫キャップ
- その他:ゴミ袋、軍手やゴム手袋、マスク、トイレットペーパー(当日用)、マスキングテープ
新居の傷・汚れ防止策
入居後の原状回復トラブルを避けるためには、最初の対策が重要です。少しの工夫で、部屋をきれいに保ちやすくなります。
換気扇・通気口のフィルター設置
キッチンの換気扇や、各部屋の壁にある通気口は、油汚れや排気ガスで真っ黒になりやすい場所です。これらは一度汚れると掃除が非常に大変です。
100円ショップなどで売られている「カット済みフィルター」などをあらかじめ装着しておきましょう。定期的にフィルターを貼り替えるだけで本体を綺麗なまま維持できるため、掃除の手間が大幅に減ります。

水回りのマスキングテープ・防カビ剤
水回りの隙間にマスキングテープを貼ることで、汚れの蓄積を防げます。防カビ剤と併用するのがおすすめです。
お風呂のドアのパッキン部分や、キッチンコンロの隙間など、埃やカビが溜まりやすい場所に「防カビ剤入りのマスキングテープ」を貼りましょう。汚れが溜まったらテープを剥がして貼り直すだけで、真っ白な状態をキープできます。
また、お風呂場は入居前に「防カビくん煙剤」を使用することで、カビの胞子を死滅させ、黒カビの発生を長期間抑えることができます。

床の傷防止シート・家具脚カバー
床の引きずり跡は原状回復費用を請求されやすい項目です。家具の重みで床が傷つくのを防ぐため、設置前に保護シートや脚カバーを用意しましょう。
ダイニングチェアやテーブルの脚には、必ずフェルト製の傷防止シートかキャップを取り付けましょう。特に賃貸のフローリングは傷がつきやすく、椅子の出し入れだけで細かな傷が無数についてしまいます。
また、ベッドやソファなど重量のある家具の下には、加重を分散させるための保護マットを敷くと、床の凹みを最小限に抑えられます。

冷蔵庫下マット・洗濯機のかさ上げ台
水漏れや振動対策として、家電下のマットやかさ上げ台は必須アイテムです。
冷蔵庫は一度置くと数年間は動かしません。そのため、冷蔵庫の重みによる床の凹みと、電気焼けによる黒ずみを防ぐためのマットを敷くのが鉄則です。
また、洗濯機は「かさ上げ台」に乗せるのがおすすめ。洗濯機の下に隙間を作ることで、排水ホースの設置が楽になるだけでなく、埃が溜まりやすい洗濯機下の掃除が容易になり、振動音の軽減にも役立ちます。

ライフライン・ネット回線の手続き
生活を始めるためには、ライフラインの手続きが欠かせません。引っ越し当日に確実に使えるよう準備しましょう。
電気・ガス・水道の開始連絡
電気と水道は、基本的にはインターネットや電話での事前申し込みのみで使用開始できますが、ガスだけは「開栓立ち会い」が必須です。引っ越し当日の希望時間は早めに埋まってしまうため、2週間前にはガス会社へ連絡し、作業時間を予約しておきましょう。
最近では、電気・ガスのセットプランに切り替えることで光熱費を抑えられるケースも多いため、この機会にプランの見直しをするのも賢い選択です。
インターネット回線の申し込み・工事
VDSL方式か光配線方式かを確認し、ルーターの設置場所を決めます。
現代の生活に欠かせないネット環境ですが、開通までには意外と時間がかかります。特に3月〜4月の繁忙期は、回線工事の予約が1ヶ月待ちになることも珍しくありません。新居のインターネット設備・回線種類を確認し、早めにプロバイダへ連絡しましょう。工事までの期間、ポケットWi-Fiを無料で貸し出してくれるサービスがある業者を選ぶと安心です。
郵便物の転送届の手続き
旧住所に届く郵便物を新住所へ1年間無料で転送してくれる「転送届」は、郵便局の窓口だけでなく、インターネット(e転居)からも手続き可能です。登録反映までに数日かかるため、引っ越しの1週間前には済ませておきましょう。あわせて、銀行、クレジットカード、通販サイト、携帯電話などの住所変更もリストアップして、順次進めていく必要があります。
入居前のよくある質問Q&A
最後に、入居前によくある疑問をまとめました。
掃除はいつまでに終わらせるべき?
理想は”引っ越し前日”までです。当日は引っ越し業者の搬入作業でバタバタし、埃も舞います。掃除が終わっていない状態で荷物を運び込むと、家具の裏側に汚れを閉じ込めてしまうことになります。どうしても当日にしか時間が取れない場合は、最低でも荷物搬入「2時間前」までには床拭きだけでも済ませるようにしましょう。
バルサン(防虫くん煙剤)は本当に必要?注意点は?
「新築だから大丈夫」「クリーニング済みだから平気」と思っていても、排水管や隙間から侵入してくるケースは多々あります。特に入居後はダンボール(ゴキブリの卵が付着しやすい)が大量に持ち込まれるため、その前に一度室内をリセットしておく意味でバルサンは非常に有効です。注意点は、煙で火災報知器が作動しないよう専用のカバーをかけること、そして終了後はしっかり換気と掃除機がけをすることです。
近隣への挨拶はいつ行くべきか
引っ越し当日、または翌日の明るい時間帯がベストです。賃貸マンションであれば、最低でも両隣と上下の部屋には伺いましょう。
最近ではプライバシー重視で挨拶を控えるケースもあり、一人暮らしでは無理に行う必要はありません。しかし、特に騒音トラブルになりやすい集合住宅では、顔を合わせて「これからお世話になります」と一言添えるだけで、印象が大きく変わります。500円〜1,000円程度の消耗品(タオルや洗剤)を持っていくとスマートです。
一人暮らしで最初に買うべきものは?
家具家電を除いて、初日にないと困るものは「トイレットペーパー」「カーテン」「照明器具」「ゴミ袋」「充電器」の5点です。特に照明器具は、備え付けでない物件の場合、夜になると真っ暗で作業ができなくなります。また、カーテンがないと夜間のプライバシーが守られないため、引っ越し初日に必ず設置できるよう準備しておきましょう。
まとめ
新居への入居は、単なる荷物の移動ではなく、新しい生活の土台を作る大切なプロセスです。鍵を受け取った直後の「現状確認」から始まり、荷物がない状態での「徹底掃除」と「傷防止策」、そしてスムーズな「ライフラインの手続き」を一つずつ丁寧に行うことで、入居後のストレスは最小限に抑えられます。
特に、傷のチェックやマスキングテープでの汚れ予防は、数年後の退去時に自分の資産を守ることに直結します。今回ご紹介した24のアクションを参考に、ぜひ万全の体制で新生活をスタートさせてください。
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