近年、賃貸マンションの防犯対策として「オートロック付き物件」が人気を集めています。しかし、オートロックが付いているからといって、必ずしも安全とは限りません。本記事では、オートロックの仕組みや防犯効果、メリット・デメリット、さらにオートロック付きでも注意すべきポイントについて詳しく解説します。
賃貸物件を探している方や、セキュリティ面を重視している方はぜひ参考にしてください。

オートロックとは何か?付いてるマンションは安全?
「オートロック」はエントランスでの不審者の侵入を防ぎ、住民の安全を守る仕組みですが、実際にどの程度の防犯効果があるのでしょうか?本章では、オートロックの基本的な仕組みや防犯性能について詳しく解説します。
オートロックとは

オートロックとは、建物のエントランスに設置された自動施錠機能を備えたシステムのことを指します。建物内に共用の玄関ドアがあり、鍵で施錠しなくても自動でロックされる仕組みとなっています。通常、住民は専用の鍵や暗証番号、カードキーを使って解錠し、外部の人が勝手に建物に入ることを防ぐ仕組みになっています。
また、居室にて訪問者を確認してから施錠を解除できるため、許可のない部外者が共用玄関から侵入を防ぐことができます。主にマンションやアパート、オフィスビルに採用されており、セキュリティ対策の一環として導入されることが多いです。
部屋の玄関以外にドアがあることで、直接玄関前にたどり着けるアパートなどと比べると、不審者やセールス、宗教関係、集金、新聞取りなどを寄せ付けることを防げるため、一人暮らしの女性や、小さな子どもがいるファミリー層などに人気があります。
オートロックの防犯効果について
オートロックの最大の利点は、不審者や営業目的の訪問者など、住民以外の侵入を抑止できる点にあります。特に都市部では、防犯対策としてオートロック付き物件が選ばれることが多いです。
オートロックは基本、マンションのエントランスに付いており、24時間施錠されています。エントランスの扉を開けて中に入るには、鍵や暗証番号で解錠するか、居住者に内側から開けてもらう必要があります。そのため、基本的には入居者以外は中に入ることができません。また、カメラ付きの場合は訪問者を目視でも確認できるので、入居者にとってはより安心を感じられます。
しかし、オートロックがあるからといって「100%安全」というわけではありません。後述するように、不法侵入の手口も多様化しているため、油断は禁物です。
オートロックのデメリット&注意点とは?
オートロックは防犯対策として有効ですが、デメリットや注意点もあります。ここでは、オートロック付きマンションを選ぶ際に知っておきたいポイントを紹介します。
注意点[1]オートロック「絶対侵入できない」という保証はない
オートロックがあっても、侵入を完全に防げるわけではありません。オートロックを開場したタイミングで一緒に建物に入る「共連れ」、住人がオートロックのドアを出た隙に入れ違いで侵入する「入れ違い」の手口や、暗証番号が漏洩してしまうケースなどが考えられます。オートロック付きだからといって油断せず、自分自身でも防犯意識を持つことが重要です。
注意点[2]オートロック付きマンションは家賃が高い
オートロック付き物件は、一般的に家賃が高めに設定される傾向があります。設備費用やメンテナンスコストがかかるため、同じエリア・間取りでも、オートロックの有無によって賃料が数千円〜1万円ほど変わることもあります。
コストパフォーマンスを考慮しながら物件を選びましょう。
注意点[3]鍵を忘れた場合オートロックだと大変
オートロックのデメリットとして、鍵を忘れるとエントランスに入れなくなる点が挙げられます。特に、鍵を持たずにゴミ出しに行った際に締め出されてしまうケースが多く、管理会社や家族に助けを求めなければならないこともあります。
スマートロックや暗証番号式のオートロックであれば、このリスクを軽減できます。
オートロックにも種類がある
オートロックにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。物件を選ぶ際は、どのタイプが設置されているかを確認しましょう。
オートロックの構造と種類
オートロックには、主に以下の3つの種類があります。
- 集合キー式オートロック
- 暗証番号式オートロック
- カードキー式オートロック
- 非接触型IC式オートロック
- 指紋認証式オートロック
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
集合キー式オートロックの特徴とは?

集合キー式オートロックは、物理的な鍵を使用して解錠するタイプのオートロックで、現在最も普及しています。居住者それぞれの鍵を使用してエントランスを解錠できるため、鍵を二つ持ち歩かなくて良い点がメリットですが、鍵を紛失するとエントランスに入れなくなるリスクもあります。また、複製が比較的容易なため、管理会社との契約で合鍵(スペアキー)を作ることが禁止されている場合があります。
暗証番号式オートロックの特徴とは?

暗証番号式オートロックは、あらかじめ設定されたパスワードを入力して解錠するタイプのオートロックです。鍵を持ち歩く必要がないため便利ですが、背後から番号を見られるなどして暗証番号が流出すると第三者に不正利用されるリスクがあるため注意が必要です。また、暗証番号を忘れたり、複数回間違えるなどしてロックがかかってしまうリスクもあります。
カードキー式オートロックの特徴とは?

カードキー式オートロックは、カードキーによって解錠するタイプのオートロックです。磁気部分をカードリーダーに通して読み取る磁気カード式と、ICチップが内蔵されたカードをセンサーにかざして読み取るICカード式があります。複製が難しい・財布やパスケースに入れられて持ち運びがしやすいなどのメリットがあり利便性が高い反面、カードを紛失すると不正利用のリスクがあります。
また、磁気不良やICチップの故障で反応しなくなるなどのデメリットも挙げられます。
非接触型IC式オートロックの特徴とは?

非接触型IC式オートロックは、ICチップを内蔵したタグや住戸の鍵にICチップを搭載したものをセンサーにかざして解錠するタイプのオートロックです。最近はポケットやカバンの中に鍵を入れたまま、キーリーダーの前を通過するだけで解錠できるハンズフリータイプもあり、より利便性が高まっています。また、複製がしにくい点もメリットです。
便利な反面、ICチップの故障などで反応しなくなることがあったり、一部のシステムでは、ハッキングリスクがゼロではないなどの危険性もあります。
指紋認証式オートロックの特徴とは?

指紋認証式オートロックは、事前登録した指紋をかざすだけで解錠できる生体認証技術を採用したオートロックです。指紋は個人ごとに異なり、複製が困難なためセキュリティレベルが非常に高く、一般的な鍵や暗証番号とは異なり、紛失や盗まれる心配もありません。近年高級マンションを中心に導入が進んでいます。
ただし、手が濡れていたり、傷がある場合に認証されにくい・指紋センサーの劣化で認証精度が低下する場合があります。
オートロック付き物件でも不法侵入されるケース
オートロック付きだからといって油断してはいけません。以下のような方法で不審者が侵入する可能性があります。
住民の後に続いて侵入してくる
共連れ(あとつけ)侵入とは、住民や訪問者の後ろについて、住民が開けた扉に続いて不審者が一緒に入る手口です。特に、宅配業者や営業マンを装った人物が住民の後ろについてくるケースがあるため、扉が完全に閉まるのを確認することが大切です。
暗証番号漏洩の危険性
暗証番号式オートロックの場合、番号が第三者に知られると簡単に侵入される危険があります。親しい間柄でも気軽に暗証番号を教えない、暗証番号を押すときは住人以外には見られないよう徹底することを心がけましょう。
<暗唱番号漏洩にて侵入された例>
- 彼氏・彼女、仕事の関係者に暗証番号を教えたことで、関係性が切れた後に、後日侵入された
- 引越しの際、家への出入りが多いため引越し業者に暗証番号を教えてしまい、後日侵入された
他にも賃貸マンションでできる防犯対策とは?
オートロック付きマンションに住んでいても、個別の防犯対策を怠ると侵入リスクが高まります。賃貸物件でも簡単に取り入れられる防犯対策を行うことで、さらに安全な生活を確保することが可能です。ここでは、具体的な防犯対策を紹介し、それぞれのポイントを詳しく解説します。
ドアスコープとドアチェーンの利用


ドアスコープ(のぞき穴)とドアチェーンは、来訪者を確認したり、不審者の侵入を防ぐために欠かせない防犯設備です。特に、不審者が訪問を装って侵入しようとする手口を防ぐためには、ドアスコープ越しに相手を確認する習慣をつけることが重要です。また、ドアチェーンは施錠中でも少しだけドアを開けることができ、訪問者との距離を保つことができます。ただし、ドアチェーンの締め忘れや、劣化による破損には注意が必要です。より強度の高い補助錠を追加するのも有効な対策となります。
防犯カメラがついてる物件を選ぶ

防犯カメラの有無は、物件の安全性を大きく左右します。共用エントランスやエレベーター、駐輪場、ゴミ置き場などに防犯カメラが設置されているマンションは、犯罪の抑止効果が高いとされています。防犯カメラがあることで、住民以外の出入りを監視でき、不審者の侵入リスクが減少します。
また、防犯カメラが設置されているマンションは、管理体制がしっかりしていることが多く、管理人や清掃スタッフが定期的に巡回している可能性も高いため、安心感が増します。物件を選ぶ際は、防犯カメラの設置場所や作動状況を確認し、安心して暮らせる環境を整えましょう。
2階以上に住む&1階の場合は窓に防犯フィルムやブザー設置
一般的に、マンションの1階は空き巣のターゲットになりやすいとされています。そのため、防犯対策を重視するなら、2階以上の部屋を選ぶのが理想的です。しかし、1階に住む場合でも、防犯フィルムや窓用ブザーを設置することで侵入リスクを低減できます。
<効果的な防犯アイテム>
■ 防犯フィルム
窓ガラスを割られにくくするため、侵入者の侵入を防ぐ効果があります。

■ 窓用防犯ブザー
窓が開けられると大きな音が鳴るため、侵入を試みる犯罪者を威嚇できます。

■ 面格子のある窓
格子があることで侵入を物理的に防ぐことが可能。

また、ベランダや共用廊下に面した窓にも注意が必要です。エアコンの室外機や塀を足場にして、侵入するケースもあるため、ベランダの鍵もしっかり施錠する習慣をつけましょう
カーテンの選び方に注意する
カーテンの種類によっては、部屋の様子が外から見えてしまい、空き巣に狙われやすくなります。特に、レースカーテンだけを使用していると、外から室内の様子が透けて見えてしまうことがあるため、防犯対策としては不十分です。
防犯に適したカーテンの選び方
- 遮光性の高いカーテン:室内の光が外に漏れにくくなり、部屋の中を見られにくくする。
- ミラーレースカーテン:日中は外からの視線を遮りつつ、室内からは外が見えるため防犯対策に効果的。
- 二重カーテンの活用:レースカーテンと厚手のカーテンを併用し、夜間も視線を遮る。
また、カーテンの色にも注意が必要です。薄い色や白っぽいカーテンは外からシルエットが透けやすいため、できるだけ濃い色のカーテンを選ぶのが望ましいです。
鍵はディンプルキーのマンションに住む
鍵の種類によっても、防犯性が大きく異なります。一般的なギザギザの鍵(ピンシリンダーキー)はピッキングされやすいため、防犯性が低いとされています。防犯対策を強化するためには、ディンプルキーを採用している物件を選ぶことをおすすめします。
ディンプルキーのメリット
- ピッキングに強い:通常の鍵に比べて、鍵穴の構造が複雑でピッキングによる解錠が困難。
- 複製が難しい:特殊な形状をしているため、合鍵を簡単に作られにくい。
- 耐久性が高い:長期間使用しても摩耗しにくく、機能性が維持される。
物件を選ぶ際は、玄関の鍵の種類を確認し、できるだけ防犯性の高いディンプルキーを採用している物件を選ぶと安心です。また、鍵を追加する「補助鍵(サムターン)」を取り付けることで、さらなる防犯対策が可能です。
まとめ
オートロック付きマンションは一定の防犯効果があるものの、それだけでは完全に不法侵入を防げるわけではありません。共連れや暗証番号の漏洩などのリスクを考慮し、個別の防犯対策を講じることが重要です。
また、防犯カメラの設置状況や鍵の種類、窓の防犯対策なども併せてチェックすることで、より安全な生活環境を確保できます。セキュリティを重視して賃貸物件を選ぶ際は、オートロックだけでなく、総合的な防犯対策が整った物件を選ぶことが大切です。
自分のライフスタイルに合った防犯対策を実践し、安心・安全な暮らしを手に入れましょう。
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