お部屋探しをするとき「光熱費を抑えたい=都市ガス物件がいい」と思われている人も多いのではないでしょうか?希望条件に「都市ガス必須」と入れている人も多くいます。
しかし、プロパンガスと都市ガスの明確な違いをご存じでしょうか?本記事では、原料や供給方法の違い、料金の仕組み、さらにはそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します。自分に合ったガスの選び方や節約術も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
お部屋探しをする前に正しい情報を得て、後悔しないお引越しを目指しましょう。

プロパンガスと都市ガスの違いは?
プロパンガスと都市ガスは、日常生活で使われるエネルギーとして大きな役割を果たしていますが、その成分や供給方法、熱量などに明確な違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
原料と主成分の違い
<都市ガス:環境に優しいエネルギー>
都市ガスは気体の状態で供給され、広範囲のパイプラインネットワークを利用しています。
■ 原料・・・液化天然ガス(LNG)
■ 主成分・・・メタン
※都市ガスは環境に優しいエネルギーとして注目されています。
<プロパンガス>
プロパンガスは液体化して供給されるため、ガスボンベに圧縮して保存が可能です。
■ 原料・・・液化石油ガス(LPG)
■ 主成分・・・プロパン・ブタン
※プロパンガスは「別名:LPガス」といい、お部屋探しの際の物件資料に記載があったり、実際に契約する時に不動産会社の人から説明がある重要事項説明書などに「LPガス」と表記されています。
供給方法と供給エリアの違い
プロパンガスはボンベやタンクで個別供給されるため、ガス管のない地域や山間部など、どこでも利用できます。一方で都市ガスは専用のパイプラインが必要で、供給エリアが都市部に限られる場合が多いです。そのため、都市ガスが使えるかどうかは住む地域によります。
- 都市ガス・・・地中に埋められているガス導管を使用し各家庭まで供給
- プロパンガス・・・建物にガスタンクを設置してそこから、各家庭へガスが供給
熱量の違い
プロパンガスは都市ガスと比べて熱量が高い(1立方メートルあたり24,000kcal)ため、調理やお湯を沸かす時間が短く済むという利点があります。一方、都市ガスの熱量は13,000kcal程度と低めですが、その分燃焼の制御がしやすく、安定した使用感を得られるのが特徴です。
都市ガスは空気よりも軽くて半分くらいの比重、プロパンガスは空気よりも重いです。
ガス漏れが発生した場合は、都市ガス物件は窓を開ける、プロパンガスの物件は窓を開けて、ほうきなどを使い下に溜まっているガスを室外へ掃き出すイメージで対応しましょう。
プロパンガスと都市ガスの料金比較
ガスを選ぶ際に特に気になるのが料金面の違いです。なお、一般的には都市ガスの方が安いです。
プロパンガスと都市ガスは、価格の仕組みや変動要因が異なります。ここでは、それぞれの料金について詳しく解説します。
プロパンガスの料金
▲ 建物の周りをチェックしたとき、写真のようなガスタンクが設置されていたらプロパンガスの物件
プロパンガスの料金は、基本料金と従量料金(使用量に応じた料金)の2つで構成されています。基本料金はガスボンベの配送や設備の維持管理にかかる費用で、従量料金は使用したガスの量に応じて決まります。
1立方メートルあたりの単価は都市ガスより高い場合が多く、供給エリアによって価格が異なるのが特徴です。また、自由料金制が採用されているため、ガス会社同士の競争による価格差が大きいです。地域によってはプロパンガス会社の違いで2倍近くガス料金の差が開くケースも…
プロパンガスの物件に引越しする場合はそこまで気にしたいところではありますが、賃貸物件への引越時はプロパンガス会社を選ぶことはできません。基本的に物件のオーナーとガス会社の契約となるため、自分の部屋だけ別の会社を指定することができないのです。
そのため、「プロパンガスの物件がどうしても嫌だ」という方は、お部屋探しの条件で“都市ガス必須”にすることが得策といえます。
都市ガスの料金
▲ 不動産会社や自分でお部屋を探す時に“都市ガス”を条件に入れることで、都市ガスの物件を探すことが可能
都市ガスの料金も基本料金と従量料金から成り立っていますが、プロパンガスよりも価格が安定していることが多いです。
都市ガスは2017年4月のガス自由化によって、ガス会社が各々好きな価格で設定できるようになったのですが、会社の違いで価格差はさほどなく、比較的安い傾向にあります。
料金は規制料金制が採用されているため、地域によっては自治体や大手ガス会社が一律価格を設定しています。
プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリット
ガスを選ぶ際、プロパンガスと都市ガスのどちらが適しているのかは、住んでいる地域やライフスタイルによって異なります。料金の違いだけでなく、供給方法や災害時の対応力など、それぞれにメリットとデメリットがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
プロパンガスのメリット
- 供給エリアが広い:ガス管がなくても利用可能で、山間部や離島でも供給可能。
- 熱量が高い:火力が強いため、調理や給湯にかかる時間が短い。
- 災害時の復旧が早い:個別供給のため、地域全体が影響を受けにくい。建物に供給元となるガスタンクを設置するため、ガス導管に不具合が出た場合でも建物敷地内に設置してある箇所を修理もしくは交換することですぐに復旧が可能。
プロパンガスのデメリット
- 料金が高め:都市ガスに比べ、1立方メートルあたりの単価が高い。
- 料金が不透明な場合がある:プロパンガスは、ガス会社が料金を自由に決められるため、業者によって価格差が大きい。毎月の使用料について調べてもWEBサイトに掲載されていないことが多く、実際に見積もりを取らないと正確な料金が分からない。
- 自分で好きなガス会社を選べない:「建物のオーナーとガス会社の契約」となるので、プロパンガスの物件だと自分で好きなガス会社を選べない。
都市ガスのメリット
- 料金が安定している・安い:規制料金制が採用されているため、地域で一律価格が適用されやすい。
- エコで環境に優しい:メタンが主成分のため、二酸化炭素の排出量が少ない。
- 好きなガス会社を選択可能:「建物とオーナーの契約」ではなく「各世帯とガス事業者の契約」となるので、好きなガス会社を選べる。
- 通信料などとのセット割が可能:ガス会社を自由に選べることで、電気やインターネットとセットで契約ができ、割引を受けらる。
都市ガスのデメリット
- 供給エリアが限定的:ガス管がない地域では利用できない。「地中にガス導管があるか否か」で対応エリアも限られてくる。
- 熱量が低い:プロパンガスと比べて、調理や給湯に時間がかかる場合がある。
- 震災時、復旧まで時間がかかる:都市ガスは、地下に埋まっているガス導管から各家庭へ供給されているため、ガス導管に故障などがあるとすぐに復旧することができない。
プロパンガスと都市ガス、どちらが適しているか?
ここでは、どのような人にプロパンガスが向いているのか、また都市ガスの方が適しているのはどのようなケースなのかを詳しく解説します。自分の生活に最適なガスを選び、快適でコストパフォーマンスの良い暮らしを実現しましょう。
プロパンガスをおすすめする人
- ガス管がない地域に住む人
- 災害時の復旧速度を重視する人
- 調理や給湯で高い熱量を求める人
都市ガスをおすすめする人
- 都市部に住み、ガス管が利用できる地域の人
- ガス料金の安さと安定性を重視する人
- エコ志向で環境に配慮したい人
ガス料金を抑える方法【節約術】
ガス料金は家庭での大きな出費のひとつですが、ちょっとした工夫で大幅に節約できます。ここでは、ガスの使い方やガス会社の選び方を見直すことで、料金を抑える具体的な方法をご紹介します。
ガスの使用を減らして料金を安くする
以下のような方法により、ガスの使用量を減らすことで、無駄を減らし、直接的にガス料金を抑えることができます。
- 調理器具の効率的な利用
厚手の鍋やフライパンを使うことで熱が均一に伝わり、調理時間を短縮できます。また、調理中は鍋に蓋をすることで熱を逃がさず、ガスの消費を抑えられます。 - 給湯温度の調整
給湯器の設定温度を見直しましょう。冬場は少し高め、夏場は低めに設定することで、無駄なエネルギーを使わずに済みます。また、シャワーを使う時間を短くするのも効果的です。 - 断熱アイテムの活用
冬場に浴槽にお湯を張る際は、保温シートや浴槽カバーを活用することでお湯の温度を保ち、追い焚きの回数を減らせます。 - ガスを使わない選択肢を検討
電子レンジや電気ケトルを活用することで、ガスを使わずに調理やお湯を沸かすこともできます。
ガス会社の見直し方
都市ガスはプロパンガスと異なり、2017年のガス自由化によって、一部のエリアではガス会社を自由に選べるようになりました。現在、都市ガスの見直しを行うことで料金を節約できる可能性があります。以下のステップで、自分にとって最適な都市ガス会社を選びましょう。
- 現在の契約内容を確認する
まず、現在契約しているガス会社の基本料金や従量料金、契約プランを確認しましょう。特に、「自由料金プラン」 がある場合は、より安いプランが用意されている可能性があります。契約書や請求書、ガス会社のウェブサイトで料金体系をチェックしましょう。 - 他社の料金と比較する
都市ガスの自由化エリアでは、以下のような選択肢が増えています。都市ガスを自由に選べるエリアでは、これらの会社の料金プランを比較し、より安くなるかどうかを検討しましょう
・新規参入のガス会社(ENEOS都市ガス、東京電力エナジーパートナーなど)
・電力・ガスのセット割を提供する会社(東京ガス、大阪ガスなど)
・地域ごとの小規模なガス供給事業者
一般的に、電気とガスをセット契約すると割引されるプランが多いため、電力会社も含めて見直すのがおすすめです。 - セット割やキャンペーンをチェック
多くのガス会社は、新規契約者向けに「キャッシュバック」や「基本料金の割引」といったキャンペーンを実施しています。さらに、電気やインターネットと組み合わせたセット割 を利用すると、年間の光熱費が大幅に安くなる場合があります。 - 乗り換えのシミュレーションをする
多くのガス会社のウェブサイトには、「ガス料金シミュレーション」が用意されています。現在の契約と新しいプランを比較して、どれくらい安くなるのかを試算してみましょう。自分のガスの使用量を入力すると、どの会社が最も安くなるのかを簡単に比較できます。 - 切り替えの手続きを行う
都市ガスの乗り換えは、申し込み後に新しいガス会社が現在の契約の解約手続きを代行してくれることがほとんどです。そのため、基本的には申し込むだけでOK です。切り替えには約1〜2か月かかることが多いため、早めに手続きを進めるのがおすすめです。
【注意点】
違約金が発生しないか:契約期間が決まっている場合、解約手数料がかかることがあるので要確認。
供給エリア内かどうか:すべての都市ガスエリアで自由化が適用されているわけではないため、事前に確認が必要。 - ガスの使用量を見直す
ガス会社を変えなくても、契約プランを見直すだけで料金が安くなるケースもあります。例えば、東京ガスでは「ずっともガス」といった割引プランがあり、一定の使用量以上で割引が適用されるなど、料金体系が変わることがあります。契約内容を見直して、よりお得なプランに変更するのも一つの手です。
基本的にはできません。稀に「ガス料金が高すぎる」といった理由でオーナーに相談をしてガス会社が変更されることもあります。
流れ的には、以下の通りです。
このようにまずは管理会社へ相談をして、管理会社からオーナーへお話ししてもらう必要があります。時間もかかりますし、オーナーとガス会社が昔からの付き合いで契約を続けている可能性も考えられるので、基本的には切り替えできないと思った方が良いでしょう。
まとめ
プロパンガスと都市ガスには、それぞれ異なる特徴やメリットがあります。お部屋探しをしていく中で家賃だけではなく、ガス料金含め「光熱費」まで目を向けてみてることで、今後の生活コストをより抑えることが可能です。
これからお引越しをする予定で毎月の出費を抑えたい人は、お部屋探しの条件に「都市ガス」を入れることをおすすめします。都市ガスのメリット部分でも解説しましたが、ガス料金が安い点に加え電気・インターネットとまとめて契約することで、お得になるプランを出している会社もあります。また、都市ガスの物件であれば“プロパンガス会社ガチャ”的な要素もなく、平均してガス料金が安いので安心して生活できます。
一方、プロパンガスにも災害時の復旧速度が速い・火力が強いなどのメリットもあります。都市ガス物件がほとんど無いエリアや戸建て賃貸など、プロパンガスの選択しかない場合もあります。自分の住む地域やライフスタイルに合わせたガスの選択をすると良いでしょう。
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