賃貸物件の仲介手数料無料のからくりとデメリット解説!注意すべき点とは

賃貸物件の仲介手数料無料のからくりとデメリット解説!注意すべき点とは

【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。

賃貸物件を契約するときに支払う仲介手数料は、家賃の1ヶ月分+税が相場。この金額は大きな負担ですよね。ですが、最近では仲介手数料が無料や割引となる物件も増えてきています。しかし、手数料が無料だからといってデメリットがないという訳ではありません。この記事では、仲介手数料無料のからくりやそのデメリット、さらに注意すべきポイントについて詳しく解説していきますので、これから部屋探す予定の人はぜひ最後まで見てください。

賃貸を借りる時に不動産屋に払う仲介手数料とは

賃貸物件を借りる際、不動産会社に対して「仲介手数料」という費用を支払う必要があります。この手数料は、物件探しや契約手続きのサポートをしてもらったことに対する対価です。通常、賃貸契約を結ぶときに一度にまとめて支払われるため、特に初めての引っ越しや新生活の準備中にこの費用が大きな負担になることも少なくありません。

そもそも仲介手数料ってなぜ必要?

仲介手数料は、不動産会社が賃貸契約の仲介を行う際に発生する費用です。不動産会社は、物件を紹介し、契約に関するアドバイス、物件の内見の手配、賃貸契約書の作成など、賃貸に関する様々な手続きやサポートを提供しています。つまり、部屋を借りる際に相談や手続きしてもらった業務の対価として、不動産会社に支払う料金が「仲介手数料」です。

仲介手数料がかかる理由としては、賃貸契約のスムーズな進行を保証するために一定のコストが発生するためです。物件探しや契約サポートがなければ、賃借人(お部屋を借りる人)は自分に合った物件を見つけたり、契約を進めるのが難しくなります。不動産会社の経験とノウハウを利用するために、手数料を支払う形となっています。

SUUMOやホームズなどの物件検索サイトに物件情報を掲載しているのも仲介会社がメインになってます。お客様から頂く仲介手数料の一部はこういった広告に使われていたりします。

宅地建物取引業法で仲介手数料の上限は決まってる

日本の法律「宅地建物取引業法」では、仲介手数料の上限が定められています。この法律に基づき、不動産会社が賃借人(お部屋を借りる人)から徴収できる仲介手数料は、家賃の1ヶ月分+税が上限と決まっています。これ以上の手数料を請求することは法律違反となりますので、MAXでもこの金額となります。

ただ、上記は例外の金額で原則としては家賃0.5ヶ月+税が上限となっており、賃借人(お部屋を借りる人)の承諾を事前に得る事ができれば1ヶ月分+税を上限に受け取る事ができるという風になっています。そのため、後者の「家賃1ヶ月分+税」を請求する不動産屋が多いため相場が1ヶ月分+税となっています。

▼詳細解説記事

とはいえ、不動産会社によっては仲介手数料が半額や無料でやっている場合もあります。ではなぜ、同じ物件なのに依頼する不動産業者を変えるだけで仲介手数料の金額が変わるのでしょうか?ほとんどの方が知らないお話になる為、わかりやすくその仕組みを解説していきます。

賃貸物件の仲介手数料無料のからくり

仲介手数料が無料になるケースは、賃借人(お部屋を借りる人)にとって非常に魅力的に見えるものです。しかし、その裏にはいくつかのビジネスモデルや利益構造が隠されています。

仲介手数料無料のからくり①オーナーからも手数料がもらえる

賃貸契約では賃借人(お部屋を借りる人)だけでなく、物件オーナーや管理会社からも不動産会社に手数料が支払われる場合があります。これは、オーナーが物件を貸すために賃借人を探してもらう対価として、不動産会社に報酬を支払う仕組みです。

この仕組みにより、賃借人が手数料を支払わなくても、オーナーからの手数料で不動産会社が収益を上げられるため、仲介手数料無料のサービスが成立するのです。

とはいえ、市場に出ている物件すべてがオーナー様から手数料をもらえるという訳ではありません。手数料の金額は物件によって異なり、そもそももらえない(手数料0円)という場合もあります。

理由としては、人気エリアで条件の良い物件であればオーナー様が不動産屋に手数料を支払わなくても借りたいという入居者がすぐ見つかるからです。つまり、オーナー様が手数料を支払うというのは、上記のような条件よりも「少し劣った物件」だったりします。なので、積極的に紹介をしてもらい早く入居者を見つけるためにも不動産屋に手数料を支払うのです。

東京近郊であれば全体の半分ほどの物件が手数料もらえますが、逆に半分ほどの物件はもらえないです。また、大阪市内の場合は9割以上の物件が手数料もらえたりするので地域によっても異なります。

仲介手数料無料のからくり②どこで利益を出してる?

仲介手数料が無料になる場合、不動産会社はどのようにして利益を得ているのか疑問に思う方も多いでしょう。

前述したように、「オーナー様から手数料がもらえる場合は仲介手数料0円」「もらえない場合は仲介手数料を頂きます」という風に物件ごとで金額を変えているケースが多いです。理由としては、オーナー様から手数料がもらえないのに仲介手数料0円で紹介してしまうとシンプルに利益が0円になるからです。

中には、物件管理やリフォーム、火災保険の販売、ライフラインの紹介など関連サービスを提供することで追加の収益源を確保している場合があります。その場合は、仲介手数料が無料であっても、他のサービスで収益を補完し、ビジネスを成り立たせる事ができます。

最近ではライフラインの斡旋をしてライフライン業者から手数料をもらっている不動産屋もいますが、バック金額が高い業者=利用するお客様が支払う料金が高い場合が多いため、そういったライフライン業者を利用してしまうと知らずに電気代やガス代が高額になってしまう場合があるので注意です。もしそういった紹介が必須と言われた場合は、毎月の料金がいくらかかるのか等を聞いて確認しておくといいと思います。

仲介手数料無料のからくり③運営コストの削減をして割引するビジネスモデル

オーナーから手数料がもらえる場合は仲介手数料0円で契約できるという不動産屋が最近は増えてきます。当ブログの運営をしているホンネ不動産がまさにそうです。こういった不動産屋は賃借人(お部屋を借りる人)に割引還元をするためにも自社の運営コストを減らしています。

例えば、テレビCMなどの高い広告費は使わずにSNSなどを活用して広告費を削減したり、店舗を複数構えるのではなくオンライン接客を取り入れて少数店舗で運営をするなど。そういった企業努力で運営コストを抑えてお客様に割引還元するビジネスモデルの会社は仲介手数料無料にしても利益がでる仕組みになっているので、三方良しの関係ができます。

一般的な不動産屋は「オーナー様から手数料がもらえる物件でも入居者からも手数料1ヶ月分もらう」のが一般的です。なので運営コストを削減して入居者に還元するビジネスモデルの会社を通すと、仲介手数料割引してくれるので明朗価格で契約できます

仲介手数料無料の不動産屋の注意すべきポイント

仲介手数料が無料の不動産会社は多くありますが、その全ての会社がお得とは限りません。利用する際に注意しておくべきポイントを理解しておくことで、トラブルを避けることができます。

別の項目で請求する不動産屋があるので注意

仲介手数料が無料や半額ですと謳っていても、他の名目で追加費用を請求する不動産会社がいます。例えば、事務手数料や除菌消臭代・虫駆除などの料金が発生し、最終的に支払う金額が高くなることもあります。入居申込を入れる前に、すべての費用をしっかり確認し、どの項目でどれだけの費用がかかるのかを把握しておくことが重要です。

対象の物件が限られるため選べる物件が少ない

「取り扱い物件すべてが仲介手数料無料」と謳っている不動産会社は、物件数が限られていて選べる物件数が少ない場合があります。特に人気のエリアや条件の良い物件では、前述したようにオーナー様から手数料がもらえない物件の方が多いため、仲介手数料を無料にできる物件は選択肢が少ない傾向があります。

そのため、希望する物件が手数料無料に該当しない場合、多少の手数料を支払ってでも条件の良い物件を選ぶか、手数料無料の範囲内で妥協するかの判断が必要になります。

全物件0円と謳っている不動産屋はここら辺の説明をしてくれない場合が多いので、しっかり説明して多くの選択肢の中から選べる不動産屋に依頼をした方がいいです。

賃貸の仲介手数料無料物件のデメリット

仲介手数料が無料の物件には一見魅力的な部分がありますが、デメリットもあります。これを理解しておかないと、後々不満を感じることになるかもしれません。

不利な条件や不人気な賃貸物件の場合あり

手数料無料の物件は、何らかの理由で不人気だったり、条件が悪い場合があります。例えば、駅から遠い、築年数が古い、周辺環境が悪いなどの物件が手数料無料となることがよくあります。そのため、物件選びの際には、条件をしっかり確認し、手数料無料だけに惹かれて契約するのは避けましょう。

家賃が高く設定されていることがある

手数料が無料である代わりに、家賃が相場よりも高く設定されているケースもあります。表面上は手数料がかからないように見えても、長期的に見た場合、総コストが高くなることがあるため、家賃と手数料のバランスを慎重に検討する必要があります。

礼金に上乗せされていることがある

手数料が無料となる代わりに、礼金が通常よりも高く設定されている場合もあります。手数料を抑えたつもりが、他の項目でコストが増えてしまうことがあるので、全体的な費用を確認することが重要です。

礼金が上乗せされているかどうかは他の仲介会社からも見積もりをもらえば確認する事ができます。2社とも礼金がある場合はオーナーさんがその条件で募集を出しているという事になります。逆に、礼金が無い場合は最初に見積もりもらった業者が上乗せしている事になるので、礼金を上乗せしていない業者に依頼をした方がいいです。

仲介手数料以外にも初期費用を抑える方法はある

仲介手数料以外にも、賃貸契約時の初期費用を抑える方法はいくつかあります。これらの方法を組み合わせて、できるだけお得に契約を進めることができます。

敷金・礼金なしのゼロゼロ物件を探す

敷金・礼金が不要な「ゼロゼロ物件」を探すことで、初期費用を大幅に削減できます。ゼロゼロ物件は、特に短期的に住む場合や引っ越しコストを抑えたい方にとって非常に有効です。

複数の不動産会社に相見積もりして比較してみる

複数の不動産会社に見積もりを依頼し、費用を比較する「相見積もり」を行うことで、最もコストパフォーマンスの高い契約を見つけることができます。他社の条件と比較することで、交渉の余地も生まれる可能性があります。

他社で紹介された物件を他の不動産会社に相談するのはNG?

紹介された物件を内見した後でも、入居申し込みをする前であれば他の不動産会社に相談することは可能です。

内見を手配してもらった不動産会社で必ず申し込む必要はなく、対応に不満があったり、より良い条件を提示する会社を見つけた場合は遠慮なく切り替えて問題ありません。不動産業界ではこうした比較や変更はタブーとはされておりません。

色々とお世話になった不動産屋さんよりも、何もやっていない不動産屋に「手間かかってないのでその分を割引しますよ」と言われて値引きしてもらってそっちに行くというのは道徳的にあまりよくはないですが・・

ただし、入居申し込みを済ませた後の変更は避けるべきです。大家や管理会社、不動産会社が契約に向けて準備を進めているため、途中で別の業者に切り替えると迷惑をかけることになります。違約金やキャンセル料は発生しませんが、マナー違反と見なされ、場合によっては今後同じ大家さんや管理会社の物件を選ぶとなった場合に入居を拒否(入居審査で断られる)されてしまうので注意です。

物件が一社しか扱っていない専任物件である場合は、別の不動産会社を通して契約をすることができないため、物件選びの段階で先に初期費用や細かい契約の条件など聞いて確認しておいた方がいいです

賃貸物件で仲介手数料無料になるしくみと注意点のまとめ

仲介手数料無料の物件は、費用を抑える上で非常に魅力的です。しかし、無料の理由や他の費用が上乗せされていないかをしっかり確認することが大切です。手数料無料だからといって無条件に飛びつくのではなく、全体の費用バランスを見て、慎重に契約を進めましょう。

仲介手数料無料の物件を業者サイトで探す方法

不動産業者しか見ることのできない専用の流通サイト(ATBB/レインズ)というのがあります。不動産仲介会社はこのサイトをつかって入居者さんに物件をご紹介するような流れになっています。(なので、どこの不動産屋も扱っている物件はほぼ同じというのはそういう事です。)

仲介手数料無料の物件を効率よく探すためには、この「業者専用の流通サイト」を直接見せてくれて、選ばせてくれる不動産屋に相談をするのが一番効率よく確実に選べる事ができます。

もちろん、文字通り”業者”しか見れないサイトなので、一般のお客様が簡単に見る事はできないので上記のような対応をしてくれる不動産屋を探す必要があります。

当ブログを運営しているホンネ不動産では、オンライン相談や対面相談の際に直接PC画面で業者サイトを一緒に見ながら探すという事ができ、その際にオーナー様から手数料もらえる物件の解説もしてもらえるので、仲介手数料無料物件を簡単に探すことができるので、これから部屋探す予定の人はぜひご活用ください。下記のリンクから飛べます。

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【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。