賃貸物件を退去する際には、契約書に記載されている解約のルールに従って手続きを進める必要があります。退去連絡の期限を守らないと余分な家賃を支払うことになったり、敷金の返還がスムーズに進まなかったりする可能性があります。
本記事では、退去連絡の期限や手続きの流れ、敷金で損をしない方法について詳しく解説します。

賃貸の退去連絡(退去届)はいつまで?
賃貸物件を退去する際には、契約書に記載されている退去連絡の期限を守ることが重要です。通常、解約通知は退去の1〜2ヶ月前までに行う必要があります。退去の際には、大家さんや管理会社に適切な方法で連絡し、スムーズに手続きを進めましょう。
解約連絡の期限は1〜2ヶ月前迄が多い
賃貸物件の解約通知期限は、契約内容によって異なりますが、多くの場合、退去する1〜2ヶ月前までに通知を行う必要があります。例えば、解約通知が1ヶ月前となっている場合、1月末に退去したい場合は、12月末までに連絡を入れる必要があります。契約書を確認し、期限をしっかり守ることが大切です。
大家さんや管理会社に退去する旨を伝える方法
引っ越しを決めたら、最初に今の物件の退去連絡を行い、手続きを進めます。解約手続きの方法は一般的に以下の方法があります。
手続き方法[1]解約通知書(退去届)が一般的
物件の管理者(管理会社・オーナなど)へ解約する旨と退去日を連絡すると、多くの賃貸物件では、書面での退去届(解約通知書)の提出が求められます。管理会社の指定のフォーマットがある場合もあるため、事前に確認するようにしましょう。
退去届に必要事項を記入し、郵送やFAXなどで管理者へ送ります。
<主な記入事項>
- 物件名と住所
- 借主氏名・連絡先
- 精算後、敷金を受け取る口座
- 退去・立ち合い希望日
手続き方法[2]電話やメールで可能な場合もあり
物件によっては、電話やメールでの退去の連絡のみで手続き可能な場合もあります。ただし、口頭だけではトラブルになる可能性があるため、可能な限り書面やメールなど記録が残る形で通知することが望ましいです。
退去連絡が遅れた場合のどうなる?
退去の連絡が契約で定められた期限を過ぎてしまうと、通常よりも長く家賃を支払う必要が出てくる可能性があります。例えば、本来1ヶ月前に連絡すべきところを2週間前に行った場合、契約期間が延長されてしまい、余分な家賃を支払わなければならないケースもあります。
スムーズに退去するためにも、余裕を持ったスケジュールで行動しましょう。
【退去連絡タイミングのコツ】
例)解約予告が2ヶ月前の場合
- 物件を決める前に先に出す
次の物件が決まる前に出すのはリスクはありますが、先に出さないと単純に空家賃を2ヶ月分払わないといけなくなってしまいます。ある程度の物件希望条件が固まったら先に退去連絡しておくと良いでしょう。
例)解約予告が1ヶ月前の場合
- 申込みを入れて入居審査が終わった後
一般的には2週間ほど家賃被りは発生しますが、一番安心です。
例)少しでも費用を抑えたい場合
- ある程度の物件希望条件を固めた後
一般的に、申込を入れてから2週間後には賃料が発生するような流れとなるため、逆算すると入居希望の約2週間前に申込をする形となります。退去連絡を先に行ってから、物件を探し内見をして決めるのが一番家賃被りをなくし無駄な費用を削減できます。物件によっては、賃料発生日(入居日)を交渉で伸ばしてもらえる場合もありますので、まずは不動産会社の担当の人に相談してみると良いでしょう。
退去連絡後のキャンセルや延期はできる?
退去の連絡をした後に、急な事情で引っ越しを延期したい場合や、退去自体を取り消したい場合は、契約の内容を確認する必要があります。管理会社や大家さんの判断次第で延長が可能な場合もありますが、一般的には貸主の同意がない限り原則としてキャンセル(撤回)はできません(退去予告を受けた貸主は次の借主募集をするため)。そのため、慎重に判断することが大切です。
しかし、次の借主募集を行っても、新規の申込者がいないなど、次の入居者が決まっていない場合にはキャンセル可能な場合もあります。まずは貸主や管理会社に相談してみるとよいでしょう。
キャンセル不可だった場合
借主にやむを得ぬ事情があったとしても、貸主は借主に対して退去の請求だけでなく賃料相当額の使用損害金を請求する権利があります。キャンセルが不可だった場合は、予告期間満了までに速やかに退去しましょう。
退去連絡から新居への引越しまでの流れ
退去が決まったら、次に新居への引越しをスムーズに進めるための準備が必要です。
まずは今の家の退去連絡から行う
退去を決めたら、解約の連絡を「誰に」「いつまでに」「どのように」する必要があるかを「賃貸借契約書」にて確認し、契約書の内容に従って解約手続きを行います。その際、原状回復に関する記載も確認しておきましょう。特約が付いている場合、内容をよく理解しておくことも大切です。
確認後、今の物件のを解約したい旨と退去希望日を連絡を行い、手続きを進めます。
解約通知書(退去届)の提出
電話連絡後、契約書に従い、正式な解約通知書(退去届)を期限内に提出します。記載ミスがないように注意し、受理されたことを確認しましょう。
新居への引越しの準備
退去日が決まったら、新居の契約手続きや引越しの準備を進めます。引越し業者の手配や荷造りを計画的に行いましょう。
新居への引越し当日までにやるべきこと
- 旧居の荷物を整理し、不用品を処分する
- 電気・ガス・水道の停止手続きを行う
- 住民票の移動など各種手続きを済ませる
退去時の立ち会いと鍵の返却手続き
退去日には、管理会社や大家さんと一緒に部屋の最終確認を行います。部屋の状態をチェックし、問題がなければ鍵を返却して手続き完了です。所要時間は所要時間は30~60分程度の場合が多いです。
立ち合い時の注意点
退去立ち合いは、部屋の汚れや傷を修繕する際の費用負担責任が貸主側と借主側のどちらにあるのかをはっきりさせるために行います。借主側での故意・過失による汚れや傷の修繕費用は借主負担、入居時に始めからあった汚れや傷、経年劣化による汚れや破損の修繕費用は貸主負担となります。自分で付けてしまった汚れや傷は正直に申告し、逆にこちらに非がないものについてはその旨をきちんと主張することが大切です。
敷金の精算手続き
退去後、敷金の精算が行われます。契約内容と立ち合いの結果に基づき、原状回復費用が差し引かれ、残りが返還されます。
後日、精算の見積もり書が送られてくるので、修繕費が適正かどうかを確認し、不明点があれば管理会社に問い合わせましょう。なお、通常、立ち合い後1~2ヶ月ほどで通知がきますが、敷金だけで足りない場合、不足分を請求されることもあります。
敷金の精算をもって解約の手続きは終了となります。
退去時に損をしないためのポイント
二重家賃を防止するために早めに解約を伝える
新居の家賃と旧居の家賃が重なる期間を最小限に抑えるため、早めに解約通知書(退去届)を出し、スケジュールを調整することが大切です。
退去月の家賃についてもチェック!
退去する月の家賃は「日割り」「半月割り」「月割り」のいずれかの方法で計算されます。契約書に記載されているので事前に確認しておきましょう。
計算方法 | 10日に退去する場合の家賃負担 | 特徴 |
---|---|---|
日割り | 1~10日分のみ | 最も合理的で無駄がない |
半月割り | 1~15日分 | 10日退去でも5日分余分に払う |
月割り | 1ヶ月分全額 | 10日退去でも月末までの家賃が発生 |
退去日を決める前に、家賃の生産方法を確認。家賃の精算方法が、月割り・半月割りの場合、月末近くの退去にすることで余分な家賃を抑えられます。
退去時の原状回復費用について理解する
退去時に不要な費用を支払わないためには、「原状回復」のルールを理解しておくことが重要です。
借主が負担すべきケース
- 故意または過失による傷や汚れ
- 喫煙による壁紙の黄ばみ
- ペットによる損傷
貸主が負担すべきケース
- 通常の使用による経年劣化
- 家具の設置による床のへこみ
- 日焼けによる壁紙の変色
<退去時に注意すべきポイント>
- ハウスクリーニング代は管理者負担が基本
➡ ただし、契約書の特約で借主負担とされている場合もあるので確認が必要。 - 鍵交換費用も特約による
➡ 契約で「借主負担」となっていることがあるため、事前に契約書をチェック。 - 立ち会い時に負担区分を明確にする
➡ 汚れや破損が「入居時からあったものか」「自分がつけたものか」を説明できるようにしておく。
原状回復の負担範囲を理解し、不当な請求がないよう注意しましょう。原状回復の負担区分を理解するには、賃貸住宅紛争防止条例&賃貸住宅トラブル防止ガイドライン 改訂版 が役立ちます。図解付きで詳細が分かりやすく説明されています。
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