賃貸の退去前に掃除しないと損?追加請求の相場と退去時に掃除すべき場所

賃貸の退去前に掃除しないと損?追加請求の相場と退去時に掃除すべき場所

【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。

「賃貸物件を退去するとき、どこまで掃除すればいいの?」「どうせハウスクリーニング代を払うなら、掃除しなくても同じでは?」と疑問に思っていませんか。結論から言うと、退去前の掃除を全くしないと、思わぬ高額請求を招いたり、返ってくるはずの敷金が大幅に減ったりするリスクがあります。

本記事では、退去時の掃除が費用にどう影響するのか、国土交通省のガイドラインに基づいた「掃除すべき場所」や「費用の相場」を徹底解説します。損をしないためのチェックリストとしてもご活用ください。

退去前に掃除しないとどうなる?追加費用のリスク

退去時の室内状況は、精算費用に直結します。「どうせ業者が入るから」とゴミを放置したり、ひどい油汚れをそのままにしたりすると、通常のハウスクリーニング代とは別に「特別清掃費」や「修繕費」を請求される可能性が高まります。退去掃除をしなかったこと自体で請求されるわけではありませんが、軽視すると、数万円単位の損をするケースも珍しくありません。

善管注意義務違反による追加請求

賃貸契約には「善管注意義務(管理者として注意を払って使用する義務)」という考え方があります。これは、借り主が一般的な注意を払って部屋をきれいに使う義務のことです。

例えば、飲み物をこぼしたのを放置して床にシミを作ったり、お風呂のカビを放置して落ちないレベルまで悪化させたりした場合、この義務に違反したとみなされます。

この場合、通常のクリーニングでは対応できない「損害」として、壁紙の張り替えや床の補修費用を負担させられるケースがあるため注意が必要です。退去 清掃の際、こうした「放置された汚れ」が最もトラブルになりやすいポイントです。

掃除しない場合の退去費用の目安

掃除を全くせずに退去した場合の追加費用は、汚れの程度によりますが、数万円単位で膨らむことが珍しくありません。一般的な追加費用の相場は以下の通りです。

項目追加費用の目安理由
キッチン(油汚れ・焦げ)10,000円〜20,000円特殊な洗剤や剥離作業が必要な場合
トイレ(尿石・黒ずみ)5,000円〜15,000円便器の着色汚れがひどい場合
換気扇(重度の油固着)10,000円〜15,000円分解洗浄が必要なレベル
タバコのヤニ汚れ部屋全体のクロス代ヤニによる変色・臭いは全額負担の対象
※あくまで目安であり、実際の費用は管理会社や物件の仕様によって大きく異なります。

退去 掃除しないことで、本来払わなくて済んだはずの数万円が「原状回復費用」として上乗せされるリスクがあることを意識しましょう。

敷金返還額が減る仕組み

敷金は本来、退去時の原状回復費用を差し引いた残りが返還されるものです。掃除を怠って追加の修繕費が発生すれば、当然その分だけ返還額は減ります。

特に「敷金ゼロ」の物件の場合、退去時に別途クリーニング費用を現金で支払うことになりますが、汚れがひどければ見積もり額が跳ね上がり、大きな出費となります。引っ越し掃除の時間を少し作るだけで、手元に残る現金が大きく変わるのです。

賃貸の原状回復義務と掃除の範囲

退去時のトラブルを防ぐためには、どこまでが「借り主の負担」で、どこからが「大家さんの負担」なのかを明確に理解しておくことが不可欠です。退去する際、掃除をどこまでやるべきかという基準は、公的なガイドラインに示されています。

国土交通省ガイドラインの基本

国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「入居時の状態に戻すことではない」と定義しています。

  • 大家さん負担: 経年劣化(日光による畳の日焼けなど)や通常損耗(家具の設置跡など)。
  • 借り主負担: 故意・過失による損傷、および「掃除を怠ったことによる悪化」。

つまり、普通に生活してつく傷や汚れは大家さんの負担ですが、掃除をサボってこびりついた汚れは借り主が直す必要がある、というルールです。

入居者が負担する汚れの判断基準

入居者負担になるかどうかの境目は「手入れをすれば防げたかどうか」にあります。具体的に以下のようなケースは入居者負担となる可能性が高いです。

  1. ガスコンロ周辺の油汚れを放置して固着したもの
  2. お風呂のカビを放置して根を張らせたもの
  3. 結露を放置して窓周辺のカビや腐食を招いたもの
  4. タバコのヤニやペットによる臭い・傷

これらは「日常の手入れ」の範囲内とみなされるため、退去前に掃除を怠った結果として費用を請求される代表的な例です。

ハウスクリーニング特約がある場合

最近の契約書には「ハウスクリーニング費用は借主負担とする」という特約が付いていることが多いです。この場合、部屋をどれだけ綺麗にしても、基本のクリーニング代(ワンルームで3.3万〜5.5万円(税込)程度)は必ず引かれます。

「じゃあ掃除しなくていいじゃん」と思いがちですが、特約でカバーされるのはあくまで「一般的な清掃」です。換気扇のベタベタやサッシの泥詰まりなど、明らかな汚れが残っていると「特約範囲外の特別清掃」として追加料金を提示される口実を与えてしまいます。

※ハウスクリーニング特約は有効とされることが一般的ですが、内容が不明確な場合や過度に高額な場合は無効と判断されるケースもあります。

退去費用について、詳しく解説しています。

退去前に掃除しておくべき場所チェックリスト

少しでも返金額を増やすために、最低限ここだけはやっておくべきポイントをまとめました。退去前の掃除は「プロ並みに完璧」にする必要はありませんが、「ひと手間かけた」状態にすることが大切です。

キッチン(換気扇・コンロ周り)

キッチンは退去立ち会いで最も厳しくチェックされる場所の一つです。特にコンロ周りの油汚れと、換気扇のフィルターは、市販のセスキ炭酸ソーダや重曹スプレーで拭き取るだけでも印象がガラリと変わります。

シンクの水垢もクエン酸などで磨いて光らせておくと、「丁寧に使っていた」という印象を管理担当者に与えることができます。

お風呂・洗面所の水垢とカビ

水回りのカビは放置すると落ちなくなります。退去の数日前にカビ取り剤を使用して、パッキンやタイルの目地の黒ずみを落としておきましょう。

また、鏡のウロコ汚れや蛇口の曇りも、クレンザーや専用のスポンジで磨いておくと清潔感が増します。排水口の髪の毛やヌメリ取りも必須項目です。

トイレの汚れと床の汚れ

トイレは便器内の黒ずみ(さぼったリング)や尿石、壁への飛び散りを確認しましょう。また、トイレの床は意外とホコリや髪の毛が溜まりやすい場所です。クッションフロアの場合は、住居用洗剤で拭き掃除をするだけで見違えるほど綺麗になります。

臭いが残っていると消臭費用を取られることもあるため、念入りに換気と清掃を行いましょう。

窓ガラスとサッシの汚れ

窓ガラスの指紋や曇りは、水拭きと乾拭きで簡単に落とせます。意外と見落としがちなのが「サッシの溝」です。ここに泥や虫の死骸が溜まっていると、管理会社に「ずさんな管理をしていた」と思われてしまいます。古い歯ブラシや掃除機でゴミを取り除いておきましょう。

ベランダのゴミや排水口

ベランダは共用部分ではありますが、専用使用権があるため日常的な管理(ゴミの放置をしない等)は借主の責任とされるのが一般的です。枯れ葉や砂ぼこりが排水口に詰まっていないか確認してください。特に、ガーデニングをしていた場合は土汚れをしっかり洗い流しておく必要があります。

放置された植木鉢やゴミは「残置物」として高額な処分費用を請求される原因になります。

退去掃除が間に合わない場合の対処法

引っ越し 掃除は、荷造りと並行して行うため非常に大変です。どうしても掃除の時間が取れない場合の優先順位を紹介します。

粗大ゴミや不用品の処分を優先する

最も避けるべきは、部屋にゴミを残していくことです。自治体の粗大ゴミ回収は予約制で時間がかかるため、早めに手配しましょう。万が一、退去日に間に合わず不用品を置いていくと、管理会社が業者を手配することになり、自分で処分する数倍の費用を請求されます。

掃除よりも先に「物をなくすこと」を最優先してください。

自分で落とせる汚れだけ掃除する

時間が限られているなら、完璧を目指す必要はありません。以下の「目立つ部分」だけを集中して行いましょう。

  • 床全体の掃除機がけ(パッと見の印象が良くなる)
  • キッチンのシンクを磨く(光る場所を綺麗にすると清潔感が出る)
  • トイレの便器内(最低限のマナー)

これだけでも、立ち会い時の担当者の心象が良くなり、細かい指摘を避けられる可能性が高まります。退去前の掃除は「誠意を見せる」作業でもあります。

掃除代行サービスを利用する

「自分では手に負えない」「仕事が忙しくて1分も時間がない」という場合は、退去前に民間のハウスクリーニングや家事代行サービスを依頼するのも手です。管理会社が提携している業者よりも安く済むケースがあります。

ただし、契約書で「指定業者によるクリーニング」が義務付けられている場合は二重払いになる可能性があるため、事前に契約内容を確認しましょう。

エアコン掃除は必要?退去時の扱い

エアコンの扱いはトラブルになりやすいポイントです。退去の掃除をどこまでやるべきか悩む場所でもあります。

エアコン内部洗浄の費用負担

エアコン内部の分解洗浄(高圧洗浄)は、通常は大家さんの負担で行われることが多いです(契約で「エアコンクリーニング費用は借主負担」と定められている場合は例外)

しかし、借り主がタバコを吸っていてエアコンがヤニだらけだったり、ペットの毛が詰まって故障寸前だったりする場合は、借り主の負担になります。通常の使用であれば、内部洗浄まで自分でする必要はありません。

フィルター掃除はしておくべき

内部洗浄は不要でも、フィルターの掃除は必ず行いましょう。フィルターにホコリがびっしり詰まっていると、管理会社から「適切にメンテナンスされていなかった」と判断され、クリーニング費用を上乗せされる理由になります。取り外してシャワーで流すだけで終わるので、引っ越し 掃除の一環として必ず実施してください。

退去トラブルを防ぐためのポイント

最後に、金銭的なトラブルを未然に防ぎ、スムーズに敷金精算を終えるためのコツをお伝えします。

管理会社へ事前に確認する

退去が決まったら、電話やメールで「掃除はどこまでしておけばいいですか?」とストレートに聞いてみるのも有効です。「特約があるので、掃き掃除程度で大丈夫ですよ」と言われることもあれば、「キッチンの油汚れだけは見ておいてください」と具体的なアドバイスをもらえることもあります。

写真を撮って状態を記録する

退去の立ち会い当日、荷物が全部出た状態で部屋の写真を各角度から撮影しておきましょう。特に、自分で掃除して綺麗にした場所や、逆に入居時からあった傷などは証拠として残しておきます。後から不当な請求が来た際に「退去時はこうでした」と主張するための強力な武器になります。

専門業者へ依頼する判断基準

あまりにも汚れがひどい場合や、広い一戸建ての退去などの場合は、プロに任せた方が安上がりなこともあります。自分で中途半端に掃除して、結局追加料金を払うよりも、プロに「現状復帰レベル」まで仕上げてもらうことで、敷金からの差し引きを最小限に抑えられるからです。

退去立会いの流れや修繕費用の相場、不当な請求を防ぐための防衛策までを徹底解説しています。

まとめ

賃貸物件の退去前の掃除は、完璧を求める必要はありませんが、自分のお金を守るための重要な「防衛策」です。

  • 善管注意義務を守り、過度な汚れ(カビ・油汚れ)を放置しない
  • 引っ越し 掃除では、床の掃除機がけや水回りの磨きを優先する
  • ゴミの放置は絶対NG(高額な処分費用請求の原因)
  • ガイドラインを理解し、不当な請求には写真などの証拠で対応する

これらを意識するだけで、退去費用を大幅に節約できるはずです。退去の掃除を適切に行い、新生活を気持ちよく、そして賢くスタートさせましょう。

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