緊急連絡先がいないと賃貸契約できない?なぜ必要?どんな時に電話がくるのか

緊急連絡先がいないと賃貸契約できない?なぜ必要?どんな時に電話がくるのか

【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。

賃貸物件を契約する際に、必ずと言っていいほど「緊急連絡先」の提出が求められます。緊急連絡先がいないと契約が難しくなることもあり、誰に頼めばいいのか悩む人も多いでしょう。なぜ緊急連絡先が必要なのか、どのような責任があるのか、さらに実際にどんな時に連絡が来るのかを詳しく解説します。この記事を読んで、賃貸契約に関する緊急連絡先の重要性をしっかりと理解しましょう。

賃貸物件の「緊急連絡先」とは?

賃貸契約時に入居審査の段階で提出が求められる「緊急連絡先」とは、万が一の事態が起こった際に管理会社や大家さんが連絡を取るための連絡先です。この連絡先の役割は、主に入居者が連絡不能な状態になった場合に、代わりに連絡を取れる人を指定するというものです。

緊急連絡先が必要とされる背景には、物件管理をスムーズに進めるためのリスク管理の側面があります。そのため、基本的に緊急連絡先がいないと入居審査の段階でお断りされてしまう為、お部屋を借りることができません。

なぜ必要なのか?

緊急連絡先が必要とされる主な理由は、入居者本人が何らかの理由で連絡が取れなくなった時、物件の管理やトラブル対応において支障をきたさないためです。例えば、突然入居者が音信不通になった場合、緊急連絡先を通じて状況を確認したり、必要な手続きを行うことができます。また、緊急連絡先は、あくまで「連絡のための窓口」であり、連帯保証人とは違うため家賃の支払い義務や物件管理に直接的な責任を負うわけではありません。

緊急連絡先と連帯保証人との責任の違い

緊急連絡先の特徴

緊急連絡先は、入居者が連絡不能になった時や、非常時に備えて指定される連絡窓口です。主に物件管理上の問題や、入居者の状況確認のために使用されるもので、前述したように家賃滞納などの金銭的責任を負うことはありません。

「連帯保証人」を立てる場合は「緊急連絡先」は不要となる場合が多いです。

連帯保証人の特徴

連帯保証人は、入居者が家賃を支払えなくなった場合や、物件の損害賠償責任を果たせない場合に、その責任を代わりに負う人のことをいいます。連帯保証人には、家賃の支払いや修繕費など、契約上の金銭的な義務が課されるため、法的に重い責任を負う立場にあります。したがって、連帯保証人を引き受ける人は、入居者との信頼関係が強固である必要があります。

緊急連絡先が家賃督促の対象になる可能性は?

基本的に、緊急連絡先が家賃督促の対象になることはありません。家賃の支払いについての責任は、入居者本人と連帯保証人にあります。しかし、入居者と連絡が取れない場合に、状況確認のために緊急連絡先に連絡が行くことはあります。例えば、入居者が長期間連絡繋がらない状況にある場合、何らかの理由があるのか状況確認のために管理会社が緊急連絡先に事情を尋ねることがあります。

緊急連絡先は誰が適切?

緊急連絡先として最適な人物は、基本的に親族です。理由としては、万が一の場合でも信頼できる相手として選ばれることが多いためです。ただし、外国籍の方で日本にご家族がいない方や、親族が亡くなり依頼できる人がいない場合は友人や同僚の方でも可能な場合があります。(入居審査の段階で相談になります)

三親等以内の親族とは

三親等以内の親族は、一般的に賃貸契約時の緊急連絡先として最も推奨される対象です。三親等とは、両親、兄弟姉妹、祖父母、叔父・叔母、甥・姪などが該当します。これらの親族であれば、万が一の際にも信頼性が高く、管理会社や大家からの連絡にも適切に対応してもらえる可能性が高いため、安心です。

緊急連絡先に向いていない?こんな人は難しい3選

一方で、緊急連絡先として適さない人もいます。以下のようなケースでは、緊急連絡先としての役割を果たしにくいため、注意が必要です。

未成年者の方

未成年者の方を緊急連絡先に指定することは難しい場合が多いです。法律上、未成年者には成年者と同じ法的な責任能力がなく、緊急時に適切な対応ができない可能性が高いからです。

70歳を超える高齢者の方

70歳以上の高齢者の方も、緊急連絡先に指定することは難しい場合が多いです。理由としては、緊急時に迅速な対応が難しかったり、体調がすぐれない等の理由で、緊急の対応が必要な場面で適切に行動できない可能性があるため、管理会社(オーナー様)から断られるケースが多いです。

日本語でのコミュニケーションが難しい方

日本語でのコミュニケーションが難しい方を緊急連絡先に指定するのも避けるべきです。緊急連絡は主に日本語で行われるため、言語の壁があると、状況を正確に伝えられず、問題が複雑化する恐れがあります。特に、契約に関わるやり取りは重要な情報が含まれるため、日本語での円滑なコミュニケーションができないと入居審査の段階で入居をお断りされてしまうので注意です。

緊急連絡先の人に電話がいくのはどんな時?

実際に緊急連絡先に連絡が入るケースはそれほど多くはありませんが、以下のような状況では管理会社や大家から電話がかかることがあります。

入居者本人と連絡がつかない時

ひとつめのケースは、入居者本人と管理会社が連絡を取れなくなった場合です。管理会社は緊急連絡先に連絡を取り、入居者の状況を確認することがあります。

例えば、以下のような場合に、緊急連絡先へ連絡が入ることがあります。

  • 長期間の旅行や仕事で入居者との連絡が途絶えた場合
  • 地震や火災などで建物が損壊・倒壊した際、契約者からの折り返しがない場合
  • 大家さんが刑事事件に関与する状況で警察から契約者の連絡先を求めれ、契約者と連絡が取れない場合
  • 行方不明や死亡などトラブルによって入居者と連絡が取れない場合

入居者の家賃滞納が続いている時

もうひとつのケースは、入居者が家賃の支払いを長期間滞納している場合です。

管理会社が連絡を取っても応答がなく、滞納が解消されない場合には、緊急連絡先に電話をして、状況の確認や連絡の橋渡しを依頼することがあります。緊急連絡先が家賃の支払い義務を負うことはありませんが、入居者との連絡手段として利用されるのです。

賃貸契約の緊急連絡先がいない場合の対処法

緊急連絡先がいない場合や、親族に頼めない場合でも、賃貸契約を進める方法はあります。以下の方法を参考にして、適切な対処を行いましょう。

緊急連絡先がいない場合の対処①不動産会社(管理会社)に相談をして頼めそうな人を探す

まずは依頼してる不動産会社に相談しましょう。親族で三親等以内に該当しない場合でも、緊急連絡先として指定できるケースがあります。また三親等以外の親族でも難しい場合はその旨を伝えて、同僚や友人を緊急連絡先として指定できるか確認してみてください。

緊急連絡先がいない場合の対処②緊急連絡先が不要な物件を探す

一部の物件では、緊急連絡先の提出が不要にしてもらえる場合もあります。こうした物件を探すことで、緊急連絡先の提出が難しい場合でも契約を進めることが可能です。不動産会社に相談しながら緊急連絡先不要の物件を紹介してもらうのも一つの方法です。

まとめ

賃貸契約における緊急連絡先は、入居者が連絡不能になった際や緊急時に備えた重要な役割を果たしますが、連帯保証人とは異なり金銭的な責任は負いません。適切な緊急連絡先を選ぶことが、賃貸契約をスムーズに進めるためのポイントです。万が一、緊急連絡先すぐに見つからない場合でも、管理会社に協力を仰ぐことで、対応策を見つけられるでしょう。

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【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。