法人名義で賃貸契約の入居審査で求められる必要書類は?契約の流れも解説

法人名義で賃貸契約の入居審査で求められる必要書類は?契約の流れも解説

【監修】角名 達矢

(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。

法人名義で賃貸物件を借りる場合、上場している法人を除いて多くの書類を求められる場合があります。

物件の金額や用途によっても異なりますが、入居審査時の提出書類として予想される書類をご説明いたします。

賃貸物件を法人名義で契約する流れと注意ポイント

法人名義で賃貸契約を行う際の流れは、個人名義で部屋を探す流れと途中までは同じです。希望の条件で物件を選び、不動産会社に法人契約の意向を伝えます。ここでの注意ポイントとしては、法人契約が可能な物件かどうかという点です。オーナー(管理会社)によっては、法人名義での契約不可という契約条件にしている場合があるため、物件探しの段階で不動産屋に法人名義での契約が可能か否かを確認しながら選定しましょう。

また、通常の個人契約と異なり、法人契約の場合は、会社の信用情報を基に審査が行われるため、必要な書類をが異なるため先に準備しておくとスムーズです。主な書類には、会社の登記簿謄本、印鑑証明書、会社概要書、決算書や納税証明書などが含まれます。また、入居者の本人確認書類(運転免許証など)も必要です。

▼賃貸契約の流れについては別の記事で解説してますので見てみてください

次に、賃貸物件の審査が行われ、会社の財務状況や支払い能力を確認します。審査が通過すれば、契約内容の確認と署名押印を行います。法人契約の場合は、会社の規模にもよって変わりますがえ「連帯保証人+保証会社を利用する」ことが一般的であり、入居審査の段階でその手続きも並行して行われます。

契約後は、入居日の調整や鍵の受け渡しが行われ、法人名義での賃貸契約が完了します。法人名義の契約は、業務用や社員寮(社宅)として利用する場合が多く、個人契約よりも審査が厳しい傾向がありますが、適切な書類準備と手続きを行えばスムーズに進められます。

法人の資本金が1億円以上の場合や上場企業であれば、保証会社を外したり連帯保証人を立てなくても賃貸契約できることが多いです。

法人名義で賃貸契約をする場合に入居審査で求められる書類

履歴事項全部証明書(通称:会社謄本、法人登記簿謄本)

必要度 ★★★★★

履歴事項全部証明書とは、法人の登記内容を証明する書類で、会社の基本情報や設立から現在までの変更履歴がすべて記載されています。具体的には、会社の名称や所在地、役員の氏名、資本金、目的などが含まれます。法人名義での賃貸契約や銀行取引、その他の法的手続きで求められることが多く、企業の信頼性を示す重要な書類です。

当然、必ず必要となります。この証明書は法務局で発行する事ができ、有効期限は一般的に3か月とされています。

履歴事項全部証明書
履歴事項全部証明書

会社案内

必要度 ★★★★☆

会社案内とは、企業の概要や事業内容、経営理念などを紹介する資料やパンフレットのことです。主に、顧客や取引先、求職者などに向けて企業の特徴や強みを伝える目的で作成されます。会社案内には、企業の歴史や沿革、主要なサービス・製品、所在地、役員の紹介、連絡先などが含まれることが一般的です。

紙媒体やウェブサイトなど様々な形式で提供され、企業の信頼性やブランドイメージを向上させるための重要なツールとなります。実際に、法人がどういった業務をおこなっているのかを判断するために求められます。

会社案内の意資料やパンフレットがあればベストですが、最近では会社ホームページの会社概要などを印刷して代用で審査通せるケースも多いです。

決算報告書

必要度 ★★★★☆

決算報告書とは、企業の1年間の経営成績や財務状況をまとめた報告書で、主に株主や取引先、金融機関に向けて作成されます。一般的には、損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)などが含まれ、企業の収益状況、資産・負債のバランス、資金の流れが明確に記載されます。決算報告書は、企業の経営の透明性を示し、信用度を高めるために重要な書類で、法人契約や融資審査などで提出が求められることが多いです。

法人がきちんと賃料を支払えるかどうかを判断するための指標として提出を求められます。特に、貸借対照表・損益計算書・販売費及び一般管理費の計算内訳を提出させられることが多いです。

貸借対照表(バランスシート)では資本・資産・負債がひと目で分かり、法人の財政状況を提出することとなります。

ここでの注意ポイントとしては、契約する物件にもよりますが、直近の2〜3期分の提出求められることが多いです。特に住友不動産などの財閥系の不動産会社が管理している賃貸物件で法人名義での契約をする場合は直近2期分を求められるため、法人設立後まだ2年経っていない場合は断られることがあるため、物件探しの段階で仲介業者に確認した方がいいです。

決算報告書
決算報告書
貸借対照表(バランスシート)
貸借対照表(バランスシート)
損益決算書
損益決算書
販売費及び一般管理費の計算内訳
販売費及び一般管理費の計算内訳

事業計画書

必要度 ★★★☆☆

事業計画書とは、企業が将来の事業展開を具体的に示した書類で、新規事業の立ち上げや資金調達、融資申請などの際に作成する書類のことです。事業の目的や市場分析、目標、戦略、財務計画などが詳細に記載されており、事業の成長性や実現可能性を示します。事業計画書は、投資家や金融機関に企業のビジョンや戦略を理解してもらうための重要なツールで、企業の信頼性や計画の具体性を評価する基準として利用されます。

法人を立ち上げてからまだ決算を迎えていない場合に求められる書類です。「法人が安定した収益を上げることができるのか」「きちんと賃料を支払えるかどうか」を判断するためのものです。

まだ作成をしていない法人の代表者様は、会社の規模にもよりますが作成して準備しておいた方がいいです。

事業計画書
事業計画書
法人設立時 事業概況書
法人設立時 事業概況書

納税証明書

必要度 ★☆☆☆☆

納税証明書とは、個人や法人が一定期間内に適切に税金を納めたことを証明する書類です。主に税務署で発行され、各種税金(所得税、法人税、消費税など)の納税状況を確認できます。法人名義の賃貸契約や融資申請、公共工事の入札などで信用を証明するために提出が求められることが多いです。納税証明書は、企業や個人が税務上の義務を果たしていることを証明し、取引先や金融機関などに対して信頼性を示す重要な書類です。

法人がきちんと納税しているかどうかを確認するためのものですが、他の書類と比較して求められるケースはかなり少ないです。

UR物件やJKK物件などで法人契約を締結する際には求められます。

代表取締役の運転免許証や健康保険証等

必要度 ★★★★☆

事業用利用の賃貸借契約の場合はほぼ必須で提出を求められます。居住用(社宅)での賃貸借契約で従業員や役員が入居者の場合は求められないこともあります。

運転免許証を持っていない場合は、顔写真付きの身分証(マイナンバーカード、パスポートなど)で代用ができます。また、入居者(社員)の身分証も求められる事が多いため、事前に確認しておくとスムーズです。

戸籍所在地で取得できる「身分証明書」稀に求められることも!?
戸籍所在地で取得できる「身分証明書」稀に求められることも!?

他の記事で身分証明書についてまとめてますので見てみてください。

代表取締役の職歴書

必要度 ★★☆

法人を立ち上げてからまだ決算を迎えていない場合に求められる書類です。「法人が安定した収益を上げることができるのか」「きちんと賃料を支払えるかどうか」を判断するためのものです。

代表取締役はどういった業種で勤務していたのかを確認するためのもので、例えば設立して間もない場合などは、過去の業種と関連性は大変重要です。未経験の業種で会社を設立した…となると、貸主としては不安の種になってしまいますね。

居住用(社宅)では不要になる事が多いですが、事業用の賃貸借契約の場合は提出を求められる場合があるので事前に確認して用意しておくとスムーズです。

略歴書
略歴書

代表取締役の収入証明書(所得証明書)

必要度 ★★★☆☆

代表取締役の収入証明書(所得証明書)とは、代表取締役の収入や所得額を証明する書類です。主に役員報酬や給与収入の信頼性を証明するために必要となる場合があります。この書類は市区町村役場で発行され、前年の所得税申告内容に基づき作成されます。

法人名義での契約の場合、前述したように代表取締役の方が連帯保証人となる契約が非常に多いため準備が必要です。

この場合は源泉徴収票ではなく、確定申告書の写しや課税証明書などの公的な収入証明書の提出が必要です。

まとめ

主に必要になる書類は以上ですが、事務所の契約の場は面談や資本関係の提出も必要になる場合もあります。法人名義の場合の必要書類は申込をしてからオーナーや管理会社、保証会社の判断となります。

そのため、申込み手続きをする前に物件探しの段階で不動産会社に相談しながら進めていくとスムーズに賃貸契約ができると思うので参考にしてみてください。

▼他にも賃貸契約の入居審査について関連の記事を書いてますので見てみてください。

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(株)ホンネ不動産創業者、宅地建物取引士、不動産業界20年以上。22歳の時に就職した会社にて不動産業界の慣例・慣習があまりにもひどく衝撃を受け、実務を経験した後27歳で独立。TVメディアに多数出演。賃貸仲介・売買仲介ともに経験豊富です。