改正民法が不動産賃貸業に与える影響とは!?

「改正民法が不動産賃貸業に与える影響」拝聴させて頂きました!

先日、平成29年5月に国会可決成立した民法(債権法)改正をテーマとした「ジェイリース法務セミナー2017」に拝聴させて頂きました!

※法務セミナーを主催された「ジェイリース株式会社」は平成28年6月に東京証券取引所マザーズ市場に株式上場した家賃保証会社。顧問弁護士を務める中島成先生による講演です。

改正民法が不動産賃貸業に与える影響とは!?
改正民法が不動産賃貸業に与える影響とは!?

タイトルの通り、平成29年5月に成立した民法(債権法)の大改正が今後賃貸借契約をされるお客様、我々不動産業者へどれだけの影響あたえるのか?というとても興味深いテーマです。

改正民法が不動産賃貸業に与える影響の要点をまとめてみた!

※個人的に特に影響が大きいと感じたものをピックアップしてみました。

目次

1.施行は交付後3年以内→2020年(平成32年)5月1日or6月1日が予想される!

2.保証ルールの改正による影響

(1)賃貸借契約の個人保証も極度額の設定が必要

賃貸借契約における個人保証には極度額(賃料◯ヶ月分等)を定め、書面等で保証契約をしなければ保証契約は無効となる。

賃貸人と保証会社の保証契約は極度額を定める必要等はない。

しかし、保証会社と賃借人の保証委託契約は極度額を定め、書面等で保証契約をしなければ保証契約は無効となる。

(2)保証会社が保証する場合と極度額

①保証人が個人ではなく保証会社等の法人であるときは、(1)の極度額を設定しなくても、保証契約は有効。

②ただし、(2)①保証契約に極度額の設定がなければ、保証会社の賃借人に対する求償権についての個人保証契約は無効となる。

(3)賃借人が保証人に資力等を説明しなかったら保証が取り消される場合がある

①事業のために生じる債務の個人保証を依頼するときは、債務者は当該個人に、債務者の財産や収支、債務の状況、担保として提供するものがあるか等を説明しなければならない

②債務者がその説明をしなかったり事実と異なる説明をしたことによって、個人が保証人となった場合で、債権者が不実の説明等があったことを知っていたかまたは知ることが出来たときは、保証人は保証契約を取り消せる。

(4)賃貸人が保証人から家賃の支払状況を尋ねられた場合の情報提供義務

【賃貸借契約の保証人から賃貸人に、賃料債務の支払状況等の照会があった場合、これに答える義務が明定された】

この義務に違反しても直接の罰則規定はないが、損害賠償責任が問われる可能性がある。

 

3.賃貸借ルールの改正による影響

(5)敷金とは何か。その返還時期は?

【これまで敷金の定義、敷金返還債務の発生要件、充当関係などの規定はなかった。新設された定義は判例や一般の理解どおりのものである】

①敷金とは、賃借人の債務を担保するため賃借人が賃貸人に交付する金銭。

②賃貸人が、敷金から賃借人の債務を控除した残額を賃借人に返還しなければならない時期は、賃貸借契約が終了し、かつ物件の返還を受けたとき、または賃借人が適法に賃借権を譲渡したとき。

③賃貸人は、賃貸借契約の途中でも、賃借人の債務弁済に敷金を充当できる。他方、賃借人は、そのような充当を賃貸人に請求できない。

(6)賃貸不動産が譲渡された場合、賃貸人は誰になるか。敷金・必要費、有益費の返還義務はどうなるか

①賃借人が物件引き渡しを受けたり賃借権登記をした後に、不動産が譲渡された場合、原則として賃貸人の地位は不動産譲渡人から譲受人に移転する。

②この場合、敷金返還債務、必要費及び有益費償還債務も譲受人に移転する。

③譲受人は、不動産の所有権移転登記をすることで、賃借人に自分が賃貸人であると主張できる。

(7)通常損耗なら賃借人に原状回復義務はないか

通常損耗支払い義務を賃借人が負わないことを初めて明定した。

しかしこの新規定は任意規定であり、契約によって賃借人の原状回復義務を広げることは可能。

最高裁平成17年12月16日判決は、通常損耗を折り込んで賃料が定められるから、特約がある場合を除いて、賃借人は通常損耗回復義務を負わないとした。

今回の改正もこれを踏襲しようとするものにすぎない。改正によっても、特約で通常損耗等を賃借人に負担させることはできる。

但しその特約は、賃借人が原状回復義務を追う範囲、内容が具体的に明らかにされていることが必要。

(8)明け渡しの際、賃借人は自分で取り付けたものは撤去しなければならないか

賃借人は、自ら建物に取り付けたもので鳥は牛が可能なものは、退去時に撤去する義務がある。

(9)賃貸人の修繕義務、賃借人の修繕権

①賃貸人は修繕の義務を負うけれども、賃借人の責任で修繕が必要となった場合は、その義務を負わない。

②賃借人は、次の場合は自ら修繕できる(賃貸借契約でこれと異なる定めをすることは可能)

・修繕が必要なことを賃貸人に通知してから、または賃貸人が修繕が必要なことを知ってから、相当期間が経過しても賃貸人が修繕しないとき。

・急迫の事情があるとき。

(10)一部使用できなくなったら家賃は当然に減額されるか。一部使用できなくなったのが賃借人の責任でも賃借人は賃貸借契約を解除できるか。

①賃借人の責任によらずに賃借物の一部が使用できなくなった場合、家賃は使用できなくなった割合で当然に減額される。賃借人から請求があることは減額の要件ではない。ポイントは、賃借人の責任によらないことを賃借人が立証しなければならないという立証責任。

②賃借物の一部が使用できなくなって残存部分では賃借した目的が建っつェイできない場合は、それが賃借人の責任による場合であっても、賃借人は、賃貸借契約を解除できる(今までは賃借人の責任ではない場合のみ、賃借人は賃貸博契約の解除ができるとされていたが、賃借人の責任による場合でも、賃借人の解除権が認められることになった)

(11)賃貸物件の使用が妨害されたとき、賃借人は妨害をやめるよう請求する権利があるか。

物件の引き渡しを受けた賃借人や、不動産賃借権の登記をした賃借人は、第三者が当該不動産の使用を妨害しているときは、賃借人自ら、妨害をやめるよう請求できる。今回の改正で賃借権そのものに基づいて第三者に妨害排除請求できることが明文で認められた。

(12)賃貸借契約の存続期間

賃貸借契約の最長期間が、これまでの20年から50年に伸ばされた。更新期間も50年を超えることが出来ない。

4.その他のルールの改正による影響

(13)賃貸借契約の解除ができない場合

①契約は相当期間を定めて催告をしても履行がなければ解除できるのが原則。しかし、催告期間を経過した時点で存在する債務不履行の程度が、契約及び社会通念上軽微なときは解除できない。

②債務者が債務の全部の履行を拒絶するという意思を明確に表示していたときは、無催告で解除できる。

(14)意思表示の到達

相手方が正当な理由なく意思表示の通知の到達を妨げたときは、通常到達すべき時に到達したものとみなされる(内容証明郵便の受取拒否など)

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回の民法大改正では、120年分の判例や解釈が民法に取り入れられており、多くの判例や解釈が明分化されたのが特徴的です。

また、できるだけ分かりやすい言葉づかいになっておりました(「瑕疵」などわかりづらい言葉は使われていない)

IT重説も始まり、少しずつ業界全体が前進していることを感じました!

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