対面での説明義務があった不動産の「重要事項説明書」
2015年 8 月~2017年 1 月に行われた社会実験(53社、1,071件)を経て、目立ったトラブルが発生していないことから、一定の条件の下であれば、ITを活用して重要事項説明をしても支障がないと認められました。
2017年9月に国土交通省から公開された実施マニュアルを読んでみると、実施にあたり要件は以下の4点。
第三十五条第一項関係
2 宅地又は建物の貸借の代理又は媒介に係る重要事項の説明にITを活用する場合の取扱いについて
宅地又は建物の貸借の代理又は媒介に係る重要事項の説明にテレビ会議等のITを活用するに当たっては、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項の説明と同様に取り扱うこととする。
なお、宅地建物取引士は、ITを活用した重要事項の説明を開始した後、映像を視認できない又は音声を聞き取ることができない状況が生じた場合には、直ちに説明を中断し、当該状況が解消された後に説明を再開するものとする。(1)宅地建物取引士及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。
(2) 宅地建物取引士により記名押印された重要事項説明書及び添付書類を、重要事項の説明を受けようとする者にあらかじめ送付していること。
(3) 重要事項の説明を受けようとする者が、重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、宅地建物取引士が重要事項の説明を開始する前に確認していること。
(4) 宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項の説明を受けようとする者が、当該宅地建物取引士証を画面上で視認できたことを確認していること。
◆IT重説のメリット
1.遠隔地の顧客の移動や費用等の負担軽減
子息が遠方に就学するため、大学等の近くで下宿先を探した後に、地元に戻った両親が契約者として重要事項説明を受ける場合等、遠方の宅建業者を再度訪問することは、移動にかかる時間や交通費の負担が大きい。⇒時間コストや費用コストを軽減することが可能
2.重説実施の日程調整の幅の拡大
仕事で平日には十分な時間が取れない、あるいは長時間家を空けることが難しい場合等、重要事項説明の日程調整が難しい。
⇒日程調整の幅を広げることが可能
3.顧客がリラックスした環境下での重説実施
不動産取引に不慣れであり、宅建業者の店舗で説明を受ける際に緊張してしまう場合や重要事項説明に専門用語が含まれていて、説明内容を十分に理解できない。
⇒自宅等のリラックスできる環境での重説が可能
4.来店困難な場合でも本人への説明が可能
契約者本人が重要事項説明を受けることができるものの、怪我等により外出が困難な場合、代理人等により対応せざるを得ない。
⇒本人が外出できない場合でも重説が可能
多くの不動産業者はパソコンに取り付けるカメラ(※宅地建物取引士証の写真と顔が一致するか確認するため必須)を購入されていないのではないでしょうか?(多分)
しかしながら導入するメリットは非常に大きく、不動産業界として大変大きな一歩かと思います。